『きりこ』って、なに?

きりこ=切子とは『カットグラス』のことです。 大きくは「江戸切子・薩摩切子」に代表される「菱切子(ひしきりこ)」と、「花切 子」の二種類に分類されています。

それぞれの技法としては、「菱切子」はダイヤ・砥石などで彫刻したものを磨いて、カット面をダイヤのように光沢を出したものです。 「花切子」はガラスの表面を皮をはぐように非常に浅く摺りガラス状に文様を彫った もので、「菱切子」の幾何学的文様に比較して美的センスが要求され、薩摩切子と同様の高い技術が求められます。


■切子
金属製の回転する円盤に、水と金剛砂(柘榴石の粉末)を流しかけ、これにガラス面を当てて多面的に研磨し、砥石や木板をあてて仕上げる

 

「江戸切子」って、どんなの?

「江戸切子」は素材を無地の透明なガラスと色を薄く被せた「色被せ(いろきせ)ガラス」を使用し、カット面が浅いのが特徴です。そのため他の外国製品と比べカット面の手触りはなめらかな仕上がりになっており、その分色層が薄いのでカット作業がたいへん楽です。

カット法は、平板、菱山、蒲鉾状などのグラインダーを使用します。


■色被せ
整形したガラス器の素地の上に一層、または多層にわたって異なる色ガラスを被せる方法。

カットの手順

カット法は、平板、菱山、蒲鉾状などのグラインダーを使用します。

※「酸磨き」= 百貨店で見かける江戸切子の高級品の大半は「酸磨き」がなされていいます。 フッ化水素と硫酸などの混合液に浸して、表面を溶かして艶出 しする方法。

 

薩摩切子って、どんなの?


■八角龍目文様
六角龍目文様と並び、切子文様の中でも多用される日本の美意識を代表する文様。

■剣而松笠文
グラデーションともいわれるやわらかな“ぼかし”が特徴です。

■藍と紅
薩摩ガラスを代表する色ガラスは、ルビーのような高貴な美しさを持つ紅ガラスと、潔い清らかさを持つ藍色の2種が代表。切子文様をほどこすのに最も効果を発揮したといえる。

技法・道具は、「薩摩切子」も「江戸切子」も基本的に同じなんですが、ふたつの決定的な違いはその色層の厚さと磨き工程にあります。

薩摩切子の特徴として、色を分厚く被せた色被せガラスを素材に使用し、カットしていきます。また仕上がりが半透明な淡い感じとなる「ぼかし」と呼ばれる技法を用いたグラデーションが独特の風合いを生み、とても美しい仕上がりとなっています。 「薩摩切子(2〜3mm)」は「江戸切子」(1mm以下程度)に比べ色層が厚いので、その分高度なカット技術が必要となります。また「薩摩切子」は江戸切子や外国切子とは違って、どんな細部分に至るまですべて手磨き仕上げをするため、その手間のかけ方は大変なものなんです。

このように薩摩切子ならではの美の表現を生むには、切子職人の高い技術が要求されます。 また手触りは、ガラス特有の冷たさはまったく感じさせず、今までのガラスにはなかった温かみを感じさせてくれます。

 

ほかにはないの?

その他にも「サンドブラスト」という技法があります。 これは、ガラス表面に保護膜を貼って、文様の部分をカッターで切り取ってその部分 を圧縮空気で金剛砂を吹き付けて彫刻するもので、観光地のガラス工房などで体験 コースでコップや灰皿などにテープを貼った前述のような経験をされた方もいるかと思います。 ただこのサンドブラスト技法では“世界でたった一つしかないあなただけのマイグラス”「上方きりこ」のように、ひらがなや漢字、あるいはイニシャルなどの文字を削ることはほとんどできません。

今回の「天満切子」は、すべて切子の技法を駆使した手作りだからこそ価値があるのです。